今回は、ミックスの中で最重要とも言えるエフェクトのコンプレッサーの使いこなしと、実際の効果や考え方についての記事となります。
アタックやリリースなどのパラメーターについて、理論的な解説は簡単にして、あくまでその効果や使い方に重点をおいて説明したいと思います。
1. Attack
アタックは、スレッショルドを超えた音に対して、コンプがかかり始めるまでの時間を決定するパラメーターです。
まず、音はADSRで構成されています。(手書きですみません。笑)
A(Attack Time)音の立ち上がる時間、速さ
D(Decay Time)最大音量から持続音になるまでの減衰時間
S(Sustain Level)音量の持続する時間
R(Release Time)音が消えるまでの時間
コンプレッサーのアタックタイムの設定で、この音が立ち上がる時間に対しての影響が変わります。
ここからが使いこなしについて。
アタックタイムを短く(早く)する=音を後ろに配置する
アタックタイムを長く(遅く)する=音を前に出す
音の距離感の捉え方として、近い音は音の立ち上がりが早く、遠い音は音の立ち上がりが遅く聞こえます。
ということで、アタックタイムの設定についての考え方としては、上記のように前に出したい時はアタックを遅く、後ろに下げたい時はアタックを早くします。
2. Release
リリースは、スレッショルドを下回った音に対して、コンプレッサーが解除されるまでの時間を決めるパラメーターです。
リリースタイムを短く(早く)する=音の粒だちが良くなる、前に出る
リリースタイムを長く(遅く)する=音がなだらかに繋がる、後ろに下がる
連続する音の場合(キック、スネア、ボーカルなど)、リリースを早くすると、コンプの切れ際が短くなって次の音にかからず、それぞれの音がタイトになります。
逆に、リリースが遅いと次の音が立ち上がる時にもコンプが動作したままになり、アタックタイムの設定に関係なく次の音の立ち上がりを弱めます。これがさらに次の音にも繋がることで、コンプがかかりっぱなしのような状態になって音が奥に下がって聞こえます。
3. Threshold
スレッショルドで設定したレベルを超えた音に対してコンプレッサーが動作します。
スレッショルドを大きくする=平坦な音になる、後ろに下がる
スレッショルドを小さくする=ダイナミクスを保つ、前に出る
スレッショルドを大きくするとコンプがかかる時間が長くなり、音量が下がって後ろに下がります。逆に小さくすると、コンプのかかる部分が少なくなり、ダイナミクスを保つため音量を上げれば前に出やすい音になります。
ただし、スレッショルドはあくまでコンプのかかるライン、線引きをするための設定で、レシオ(後述)、アタック、リリースによってかかりかたは大きく変わります。
4. Retio
レシオは、スレッショルドを超えた音をどのくらい圧縮するかを決めるパラメーターです。
レシオを大きくする=音に迫力が出る
レシオを小さくする=音をつぶさずに均す
バンドサウンドで聴けるスネアなどは、音の立ち上がり部分を急激にコンプレッションすることで音を潰して迫力を出しています。レシオを大きくすることで、この潰れ感ー迫力を演出しやすくなります。
レシオを下げることで、音色自体が変化することを防いでダイナミクスのみを調整することができます。
音のADSRを理解することで、ドラムやベース、ボーカルなどそれぞれの音のどの部分に対してコンプをかけるとどうなるのかを意識できるようになります。
「アタックを遅くするということは、、、」というように理論を頭で理解することも大事ですが、「この音を前に出して聴こえさせたいということは、、、」のような考え方、どうしたいかをまず考えて、そのための使い方を覚えることが、より深い理解へと繋がります。
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