今回はサイドチェインの使い方と、テクニックについてです。
サイドチェインとは、コンプなどをインサートしたトラック以外の信号をトリガーにして、
エフェクト処理を行う手法です。
と書くと、とてもわかりにくいかと思いますので、具体的にサイドチェインを使って
できることを、いくつか例を挙げてみたいと思います。
●キックの抜けが良くなるように、ベースを抑える。
●歌を聴こえやすくするために、オケを抑える。
●EDMによくある、うねるようなベースのダッキングを作る。
まだまだ色々なテクニックもありますが、よくある使い方としてはこのような感じかと思います。
一つずつ、プラグインの設定なども説明しながら、方法を書いてみます。
例1) キックの抜けが良くなるように、ベースを抑える。
まず、キックの音をセンドでバスに送ります。
ここではBus 1に送ります。
次に、ベーストラックにコンプレッサーをインサートします。
そして、トリガーとなるシグナルを、Bus 1に設定します。
こうすることで、ベーストラックにインサートしたコンプが、キックの音の信号によって
反応し、キックが鳴った時にベースに対してコンプレッションがかかるようになります。
ここでの設定のコツとしては、さりげない程度にかかるようにしたいので、
レシオは2:1で緩めにし、アタックは早め(最速にするとプツッとノイズが乗ることがあります)、リリースも早め(キックのアタックが抜けてくる程度の長さ)にします。
音を鳴らしながらスレッショルドを下げていき、1〜3dBほどコンプがかかるようにします。
この状態で全体を鳴らしてみると、サイドチェインコンプをかけていない時と比べて、
キックのアタックが少し見えやすくなっていると思います。
あまりリダクション量が多かったり、レシオがきつすぎると、ベースにコンプがかかって
ヘコむのが分かりすぎてしまって、ベースがぼこぼこして低域の安定感がなくなるので
注意してください。
例2) 歌を聴こえやすくするために、オケを抑える。
今度は、オケに対してコンプをかけて、歌の鳴っているタイミングでコンプがかかるように
設定します。
オケ全体にうっすらとかけても良いのですが、両サイドで鳴っているディストーションギター、オケの隙間を埋めるストリングスやパッドなどに対してかけると、オケ全体にかけるよりも自然に効果を得ることができます。
まず、ボーカルトラックからセンドでBus 1に送ります。
次に、歌以外のトラックをバスにまとめます。
分かりやすくInst Bus というトラック名にしておきます。
このトラックにコンプレッサーをインサートし、トリガーとなる信号をBus 1にします。
そして、例1の場合と同様に設定していきます。
今回も、コンプがかかっていることが分からない程度にかけるのがポイントです。
レシオは1,5~2:1、アタックは早め、リリースも歌の子音が抜けてくる程度に短めです。
リダクション量も同じく1〜3dBほどで十分に効果が得られます。
コンプをon/offして効果を確認しつつ、オケが不自然にならないように設定しましょう。
例3) EDMによくある、うねるようなベースのダッキングを作る。
参考として、この曲の0:44あたりから聴けるようなベースサウンドです。
この場合は先ほどまでと違い、がっつりとコンプをかけます。
まずは、キックの音をセンドでBus 1に送ります。
次に、ベーストラックにコンプをインサートし、トリガーをBus 1にセットします。
これで、キックの音が引き金となって、ベースにコンプがかかります。
ここでは、レシオは8〜12:1、アタックは短く、リリースはベースの音が戻って来て欲しい
タイミングで設定します。8分音符より少し短いくらいがちょうど良い場合が多いと思います。
曲を再生しながら、テンポ感とベースのうねり感が気持ちの良いポイントを探して
みましょう。
今回はサイドチェインの使い方と応用例について書きました。
実際に試してみると、どういう仕組みになっているのかわかるかと思います。
ここでご紹介したもの以外にも、サイドチェインを使って出来るテクニックはありますので、まずは使い方を覚えて頂けたらと思います。
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