こんにちは。レコーディングエンジニアの原です。
第5回の今回は、マスタートラックでの処理についてから仕上げまでとなります。
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knit cap マルチトラックデータミックス解説 Link #1 楽曲、ミュージシャン、機材紹介 #2 各素材について
#5 仕上げについて
それでは早速マスタートラックでの処理に入ります。
が、まずは音量がどのくらいのレベルになっているのか確認してください。 サビなどで大きく盛り上がった時に、ピークに赤が点いていなければとりあえずはOKです。その他の注意点としては、突発的なピークがないかどうが確認してください。
一瞬だけボーカルが大きくなる、スネアが飛び出てくるというようなピークがあると、マスタートラックでコンプをかけた時に全体的に音が引っ込んでしまうポンピングがおきやすくなります。
各トラックでの処理の際に、適切にコンプレッションすることと、突発的なピークが起きないように管理しておくことで、マスタートラックでの処理がしやすく、音圧も自然に上げられます。
では、平均-8dBくらい、盛り上がったところで-5dBくらいの音量感になるようにしたところで、マスタートラックの処理に移ります。
まず、Ampex ATR-102で質感を整えます。
ハイファイなミックスにしたい場合は向きませんが、アナログ的なあたたかさや、わずかな歪み感で全体がまとまります。
ノイズの設定や、入力段でのオーバーロードに注意してください。
次に、SHADOW HILLS MASTERING COMPRESSORで軽く全体を整えて馴染ませます。
OPTICALで少しだけ整えて、DISCRETEで少し質感をつけつつ整えます。どちらも最大でリダクションが-1dB程度です。
次にMillennia NSEQ-2で全体を少し整えます。
音を作るというよりは、上下を少し伸ばしてコンプで膨らんだ帯域を抑えることで音の立体感を戻してやるイメージです。
最後にelysia alpha masterで少しだけピークを叩きます。
これにプラスして、パラレルコンプで厚みを付加します。
バストラックにFatsoを立ち上げ、3dBほどコンプレッションさせたものを足します。
少し低域が重くなりすぎたので、その部分はEQでカットしました。
ここまでで完成となります。
クリアでナチュラルなミックスではありませんが、楽曲の持つ懐かしさやノスタルジックな 雰囲気を活かす方向で、アナログ感たっぷりのミックスに仕上げました。
今回の企画では、ミックスダウンの解説に加えて、パラデータの販売も行ってます。
ブログを読みながら同じようにミックスしていくのも良いですし、それぞれ自分らしいやり方でミックスを楽しんでもらえたらと思います。
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また、ミックスダウンをしていく中で分からないことや、ここはどうしているのかもっと知りたい、という方には、オンラインレッスンも行っていますので、ぜひご利用いただければと思います。 また、もっとこういう企画をして欲しい、こういう素材があると良いななど、ご意見やご要望もぜひお寄せ頂けるとありがたいです。
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